株主の皆さまへ
株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ここに2019年度第2四半期の概況についてご報告申し上げます。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
伊勢 宜弘
- 上期を振り返ってください
- 下期の取り組みについて教えてください
上期を振り返ってください
上期におきましては、訪日旅行市場が引き続き堅調に推移し、日本政府観光局(JNTO)によると、訪日外客数は前年同期比4.6%増となりました。当社グループにおきましても、アジア諸国を中心にインバウンドの集客が堅調に推移し、インバウンドの延べ宿泊人員は前年同期比で約1万人増の約93万人となりました。一方で、新規ホテル開業は競合他社だけでなく異業種からの参入も含めて加速しており、競争が激化しています。また、体験を重視するコト消費の志向が強くなってきており、お客さまのニーズが多様化していることから、一人ひとりのお客さまのニーズにしっかりと対応しなければ、企業として勝ち残っていけないと認識しております。
2019年上期業績ですが、宿泊部門では「新宿ワシントンホテル」と「ホテルグレイスリー新宿」がインバウンドを中心に集客が好調に推移したほか、2018年8月に開業した「ホテルグレイスリーソウル」、同10月に開業した「ホテルグレイスリー浅草」の通期稼働による貢献もあり、前年同期比で増収となりました。また、「箱根小涌園 天悠」では、平日のインバウンド集客が成功するとともに、スタッフのマルチタスク化などにより生産性向上が進捗しました。さらに「ホテル椿山荘東京」においても国内外からの個人を中心に集客を強化したことにより、客室単価が前年を上回りました。レジャー部門では「箱根小涌園ユネッサン」の入場人員が告知強化などによって増加し、回復基調がみられました。一方で、婚礼や宴会部門では件数や人員の獲得が進捗せず、前年同期比で減収となりました。結果として、当社グループ全体の業績は、売上高は前年並みの336億円、営業損失は予想比2.4億円増益の1.5億円となり、当初予想より赤字幅を縮減することができました。
上期取り組みとしては、下期に集中している新規開業に向けたシステムやオペレーション準備を着実に推進してまいりました。既存事業におきましては、「太閤園」が開業60周年を迎えたことを受け、様々な記念イベントを行っています。6月に大阪で開催されたG20においては、太閤園が財務大臣・保険大臣の合同セッション会場となりました。また、「箱根小涌園 天悠」は4月より開業3年目に入り、お客さまの要望が多かった朝食ブッフェスタイルを導入し、さらに顧客満足度を向上させることができました。全社的に推進している「営業力強化」につきましては、上海に次いで中国国内2拠点目となる広州事務所を4月に開設いたしました。広州、深圳、香港などの華南地域から誘客を図り、さらなるインバウンド需要を取り込んでまいります。
下期の取り組みについて教えてください
WHG事業グループにおいて7月1日に「ホテルグレイスリー大阪なんば(170室)」を開業し、さらに新たなブランドとして、8月1日にミレニアル世代のインバウンドをターゲットとした「ホテルタビノス浜松町(188室)」を開業、11月1日にはインドネシアのジャカルタ近郊チカラン地区に長期滞在型のサービス・アパートメント「ISORAS CIKARANG(214室)」を開業予定です。ホテルタビノスではミレニアル世代の需要を取り込み、将来的な顧客層の拡大を図るとともに、サービスの機械化・AI化といった様々な生産性向上の取り組みを実施し、そのノウハウを今後、ワシントンホテルやホテルグレイスリーといった既存施設に展開してまいります。また、その他事業においては、福井県に「永平寺 親禅の宿 柏樹関(18室)」を7月26日に開業いたしました。これは、大本山永平寺で研修を受けた禅コンシェルジュが、永平寺への案内や柏樹関館内での坐禅の作法指導などを行うことで、お客さまの滞在中の禅体験をサポートする体験型の宿泊施設です。
既存事業においては、WHG事業グループでは競合ホテルとの競争激化や昨今の国際情勢によるインバウンド集客減少の影響、リゾート事業グループでは本年5月に箱根山噴火警戒レベルが1から2へ引き上げられた影響、ラグジュアリー&バンケット事業グループでは婚礼件数・人員の減少トレンドが継続していることを受け、売上高は当初予想より減収を見込んでおりますが、費用面では各種施策の進捗による費用の減少のほか、コストの見直しを進めることによって、通期では当初予想通りの営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益を見込んでいます。
また、箱根小涌園再開発計画やホテル椿山荘東京の中長期的対応を含めた新たな中期経営計画の策定については、本年3月末、本社内に新設した中期経営計画策定プロジェクトチームにおいて現在検討中であり、来年2月の2019年決算発表時に公表予定です。
引き続き国内外のお客さまお一人おひとりに合わせた付加価値の高い商品とサービスをご提供してまいります。株主の皆さまには今後も変わらぬご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。