株主の皆さまへ
株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ここに2021年の概況および2022年の取り組みなどについてご報告申し上げます。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
伊勢 宜弘
- 業績について
- 将来の成長戦略に向けて
- 2022年の取り組みについて
- 2022年12月期業績予想
業績について
2021年は緊急事態宣言が断続的に発出され、観光業にとって厳しい事業環境が続きました。このような環境の中、強固な事業基盤を再構築するために「事業計画」を策定し、主要戦略である、①事業ポートフォリオの見直し、②構造改革の推進、③経営管理体制の強化を推進してまいりました。
「ホテル椿山荘東京」「箱根小涌園 天悠」では密を避け部屋で食事等をお楽しみいただける商品の開発、WHG事業ではテレワーク需要の獲得など、お客さまの新しいニーズに対して創意工夫を行い、環境衛生を徹底して営業を続けるとともに、コスト削減・労務費対策の継続により、前期比13%減となる54億円の営業固定費を削減いたしました。
これらの取り組みの結果、当社グループ全体の売上高は前期比17億円増収の284億円、営業損失は前期比47億円改善の158億円、経常損失は前期比43億円改善の165億円となりました。なお、前期に特別損失に振替えた営業休止期間中の固定費等を加味した実質的な営業損失は前期から70億円の改善となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、資産売却等による特別利益を計上した結果、前期比351億円増益の126億円となりました。
将来の成長戦略に向けて
2021年には、資産売却を行い財務状況の強化をいたしましたが、さらなる財務強化および今後の成長戦略を見据え、政府系金融機関である株式会社日本政策投資銀行の出資により組成された「DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合」にするA種優先株式発行によって、150億円の資本・資金を調達いたしました。これにより2021年12月末の自己資本比率は25.4%と、コロナ禍前の水準まで回復しております。
調達した資金をもとに、「事業計画」の成長戦略の一環である箱根小涌園の再開発を進め、「箱根ホテル小涌園」の建て替えに着工いたしました。併行して、「箱根小涌園ユネッサン」の食事やアクティビティ機能の強化により、箱根小涌園エリア全体の魅力を引き上げ、リゾート事業の収益力を向上させるべく、取り組んでまいります。
また、「ホテル椿山荘東京」においては、「椿山荘ブランド」の価値を引き上げる料理・接客技術、企画力を強化するほか、WHG事業においては、業務の効率化に加え、チェーン共通の販促や差別化戦略を進めるなど、全社を通して、持続的な成長に向けた取り組みを行ってまいります。
加えて、2022年4月から東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」に移行することを受け、ガバナンスの一層の強化に努めるとともに、社会的な課題であるSDGsに対しても、食品ロスの削減やプラスチック製品の使用量削減等に、事業活動を通じて長期的に取り組んでまいります。
2022年の取り組みについて
2022年においても、依然厳しい事業環境であることが考えられますが、「事業計画」を推進することで、収益の改善を図ります。特に全社として付加価値向上と生産性向上の両立に取り組みます。
具体的には、マーケティングの強化施策の一つである新会員プログラム「THE FUJITA MEMBERS」を4月よりスタートいたします。お客さまのご利用実績や行動データを活用した商品造成、利用機会の提案を行うことで、国内需要を獲得してまいります。
さらに、11月に開業70周年を迎える「ホテル椿山荘東京」では、「東京雲海」をはじめとし、整備を進めてきた庭園演出を強みに、当ホテルでしか体験ができない高付加価値商品を提供いたします。
また、人事制度を24年ぶりに全面改定いたします。これにより社員のモチベーション向上と組織の活性化を図り、専門能力が追究できる環境を整備することにより、当社のサービスや料理の品質をさらに一流なものへと引き上げ、当社の強みをより一層強化してまいります。
業績面においては、インバウンド需要等の回復が遅れていることを考慮し、売上高398億円、営業損失60億円を見込んでおります。依然、不透明な事業環境が続いておりますが、販売力・マーケティングの強化による売上拡大と生産性の向上により、前期比では、約100億円以上の増収増益を実現してまいります。
2022年12月期業績予想

このような事業環境を踏まえ、2021年度の普通株式への配当金につきましては、無配とさせていただきました。株主の皆さまには平素のご支援とご期待に沿えず深くお詫びを申し上げます。
引き続き強固な事業基盤の再構築に向け取り組んでまいりますので、今後も変わらぬご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。