株主の皆さまへ
株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ここに2023年第2四半期の概況について
ご報告申し上げます。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
伊勢 宜弘
- 上期の業績などについて
- 箱根小涌園再開発について
- 下期および業績予想の修正について
上期の業績などについて
当社グループの主要顧客であるインバウンド市場において日本政府観光局(JNTO)の発表によると、1月から6月までの訪日外客数はコロナ禍前の2019年同期比で64%の水準まで回復をみせ、国内においても行動制限の緩和や新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類へ移行したことにより国内観光需要の回復が継続いたしました。このような状況のなか、第2四半期累計での各事業における宿泊部門の平均客室単価および客室稼働率は、前年同期比で大きく伸長するとともに、婚礼部門や宴会部門でも利用人員が増加いたしました。
WHG事業においては、国際便発着地である東京・関西を中心にインバウンド宿泊者数が増加し、一部地方都市までインバウンドの広がりが及んでいない状況はあるものの、第1四半期と比べて順調に推移しております。また、東京のなかでも特に「新宿ワシントンホテル」と3月から営業再開した「ホテルグレイスリー新宿」が業績を牽引いたしました。また、本年は、「ワシントンホテル」の直営1号店を開業してから50周年、「ホテルグレイスリー」は開業15周年を迎えます。周年イベントを開催するとともに今後の50年を見据え、ブランド価値の向上を図ってまいります。
ラグジュアリー&バンケット事業の「ホテル椿山荘東京」においては、宿泊をはじめ全部門で前年同期比増収となりました。引き続き、ブランドの価値向上、付加価値向上を推進しており、山縣有朋公築庭145周年を機にさらなる庭園整備や新しい庭園演出も開始いたします。
リゾート事業の「箱根小涌園 天悠」においては、インバウンド増加により平日の稼働率が上昇いたしました。料理をグレードアップした高付加価値商品の販売等、単価向上施策に努めており、前年同期比+22.8%になりました。また、「箱根小涌園ユネッサン」ではアニメや映画とのタイアップ企画の効果などにより入場人員が前年同期から増加しました。
これらの結果、当社グループ全体の売上高は前年同期比108億円増収の291億円、営業利益は前年同期比57億円増益の19億円、経常利益は前年同期比60億円増益の25億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、ホテル鳥羽小涌園跡地の売却による特別利益を計上したこと等により30億円となりました。
箱根小涌園再開発について
2018年に営業終了したホテルの跡地に建設を進めていた「箱根ホテル小涌園」が7月12日に開業し、あわせ
て「箱根小涌園ユネッサン」も大規模なリニューアルを行い、魅力的な複合体験施設へと進化しております。これは、2014年から進めておりました箱根小涌園再開発の一環であり、ホテル開業までにもつつじの名所でもある「蓬莱園」の取得、宿泊特化型の旅館「美山楓林」、アッパーミドル層をメインターゲットとした全室露天風呂付旅館「箱根小涌園 天悠」の開業、創業140年の老舗旅館であり国登録有形文化財建造物でもある「三河屋旅館」の事業継承などを進めてまいりました。当エリアに様々なタイプの宿泊施設を運営することにより、多様化する宿泊・観光ニーズにお応えすることが可能です。箱根小涌園は、時代とともに変化する社会課題やお客さまのニーズに取り組み続けてきたエリアであり、引き続き、エリア一体の魅力向上に努めてまいります。
下期および業績予想の修正について
国内旅行客の需要回復や訪日外国人の急増により好調に推移する状況を踏まえ、下期および通期の業績予想を
修正いたしました。宿泊部門において先行予約状況を踏まえ、平均客室単価の上昇を見込んでいる一方、婚礼部門や宴会部門での人員減を見込み、下期においては前回予想から売上高で約8億円の増収、営業利益では約3億円の増益といたしました。上期の業績を踏まえたグループ全体の通期業績予想においては、売上高が前回予想から12億円増収の620億円、営業利益が11億円増益の48億円、経常利益は18億円増益の53億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同じく18億円増益の59億円を見込んでおります。

最後になりますが、2020年1月に新型コロナウイルスの感染が報告されて以降、私達の生活は一変し、観光業界も大きな影響を受けました。今まで当たり前だった、旅行することや人と会うことが難しい時期が長く続きましたが、ようやく本格的な回復をみせてきております。人々にとって旅行は、新しい体験や価値を見つける機会として必要不可欠であり、決してなくならない欲求であると感じております。当社の社是にもある「健全な憩いの場」と「温かいサービス」を提供することにより「潤いのある豊かな社会」を実現するとともに、持続的な成長に向けて取り組んでまいります。株主の皆さまにおかれましては、今後も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。