株主の皆さまへ
株主の皆さまへ 株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ここに2024年上期の概況についてご報告申し上げます。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
山下 信典
- 上期の業績と取り組みについて
- 中期経営計画の進捗について
- 下期および業績予想の修正について
上期の業績と取り組みについて
2024年上期は、海外に向けたセールス強化などが功を奏し、昨年から継続して大幅に拡大しているインバウンド 需要を確実に捉えたことで、当社のインバウンド宿泊者数は前年同期比で32%程度増加いたしました。また、高付加価値商品の造成と販売に注力したことにより、各事業における宿泊部門の客室平均単価が前年同期比で大きく伸長いたしました。
WHG事業においては、旺盛なインバウンド需要の獲得および早期からの高単価予約の獲得を図り、セールスなどの取り組みを強化いたしました。また、客室やラウンジ、レストランの改装など、付加価値向上施策を並行して推進いたしました。その結果、東京都内施設を中心に客室平均単価が大幅に上昇し、WHG事業部全体で前年同期比27%増となりました。また、本年4月には、「新宿ワシントンホテルANNEX(別館)」(337室)を直営事業所として営業を開始し、当社全体の業績向上に貢献いたしました。
ラグジュアリー&バンケット事業の「ホテル椿山荘東京」では、高付加価値商品の販売強化により宿泊売上が好調に推移し、客室平均単価は前年同期比で25%増となりました。また、7月26日にはチェックイン機能を備えた、スイートルームご利用のお客さま専用のエグゼクティブラウンジ「ル・ シエル」をオープンし、ブランド価値と付加価値の向上に努めております。さらに、株式会社Share Clappingにおいては、外部婚礼提携会場での婚礼プロデュース業の拡充など、無形資産(ノウハウ)の積極的な活用を推進しております。
リゾート事業部においては、7月12日に開業1周年を迎えた「箱根ホテル小涌園」で、インバウンド比率が上昇し、稼働率、客室平均単価が順調に推移しております。同時に、「箱根小涌園ユネッサン」では「箱根ホテル小涌園」からの回遊利用増や流れるプール新設などのリニューアル効果により、入場人員が前年同期比40%増となりました。また、「箱根小涌園 天悠」では、高付加価値商品の販売が好調に推移したことに加え、インバウンドを中心に平日利用が増加したことで、客室平均単価および稼働率が大幅に上昇いたしました。
これらの結果、当社グループ全体の売上高は前年同期比 67億円増収の358億円、営業利益は前年同期比32億円増益の51億円、経常利益は前年同期比31億円増益の56億 円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、事業撤退にかかる特別損失の発生等により、前年同期比9億円増益の40億円となりました。
中期経営計画の進捗について
○事業戦略
事業戦略の主な取り組みとして、WHG事業部では、商品力強化と付加価値向上による収益拡大を図るための施策を実施しております。「仙台ワシントンホテル」と「ホテルグレイスリー札幌」では、多様化するお客さまのニーズに合わせ、客室改装により機能性を強化しております。また、「ホテルグレイスリー新宿」や「秋葉原ワシントンホテル」ではラウンジ・レストランの改装と同時にメニューも一新いたしました。今後も、くつろぎのひとときをご提供できるよう、努めてまいります。
ラグジュアリー&バンケット事業部では、有形固定資産を有効活用するための施策を進めております。「ホテル椿山荘東京」では、一部の客室を活用し、2024年2月より産後ケアサービス事業を開始いたしました。また、ホテル棟チャペルを、スイートルームゲスト専用のエグゼクティブラウンジ「ル・ シエル」へと改装し、チェックイン機能を備え、季節を感じられる軽食をご提供するなど、付加価値の向上に取り組んでおります。
リゾート事業部では、「箱根小涌園」の観光スポット化を推進するため、「箱根小涌園ディスカバリーツアー」をはじめとした様々なアクティビティイベントを実施しております。加えて、本年4月に開業7周年を迎えた「箱根小涌園 天悠」では、 ロビーラウンジを改装いたしました。立地を活かし、目前に広がる緑を眺めながら、毎日開催している音楽コンサートをご鑑賞いただいたり、軽食やドリンクをお楽しみいただいた りと、リゾートならではの癒しの時間をご提供いたします。
○財務戦略
財務戦略の進捗として、上期の業績が堅調に推移したことから、健全な財務基盤構築のために、2021年9月28日に発行したA種優先株式の未取得分100株のうち、40株を2024年8月23日に償還(取得および消却)いたしました。なお、償還後も十分な自己資本を有しており、引き続き財務状況は安定しております。
下期および業績予想の修正について
高付加価値商品の拡販に伴う客室平均単価の上昇により好調に推移する状況を踏まえ、下期および通期の業績予想を修正いたしました。婚礼や宴会部門で人員減となる可能性や依然として円安基調であることを考慮しながらも、WHG事業部を中心に平均客室単価の上昇が継続すること、またコストの減少などを見込み、下期においては前回予想から売上高で18億円の増収、営業利益では10億円の増益といたしました。上期の業績を踏まえたグループ全体の通期業績予想においては、売上高が前回予想か25億円増収の750億円、営業利益は同じく25億円増益の110 億円、経常利益は25億円増益の110億円、親会社株主に帰属する当期純利益は10億円増益の80億円を見込んでおります。
今後も、国内外のお客さまのあらゆるニーズに寄り添い、付加価値の高い商品とサービスを提供することで、潤いのある豊かな社会の実現に貢献してまいります。また、中期経営計画における重点課題である、健全な財務基盤の構築や次世代を担う人材の確保と育成などに積極的に取り組むことにより、早期に収益拡大のフェーズへの移行を目指します。株主の皆さまにおかれましては、今後も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。