株主の皆さまへ
株主の皆さまへ 株主の皆さまには、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ここに2024年の概況についてご報告申し上げます。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員
山下 信典
- 「中期経営計画2028」と2024年の取り組みについて
- 2025年について
「中期経営計画2028」と2024年の取り組みについて
2024年2月に「中期経営計画2028~Shine for Tomorrow, to THE FUTURE」を発表しました。「環境に左右されない持続的成長基盤確立」「人材の確保・育成」「健全な財務基盤構築」という3つの重点課題について、「事業戦略」「人材戦略」「財務戦略」「サステナビリティ戦略」「成長戦略」の5つの戦略による達成を目指しています。
そのなかで、ここでは事業、人材、財務の3つの戦略についてご報告いたします。
■事業について
まず、事業について、初年度である2024年は、付加価値や生産性の向上に加え、高まるインバウンド需要を確実に捉えたことにより、主に宿泊部門で利用単価が大きく伸長いたしました。
WHG事業では、利便性向上および快適性の向上を目指し、客室やレストラン、ラウンジの改装を進めました。また、新しいトレーニングプログラムによる研修を通じて、チェーン全体のサービス水準を底上げし、施設・設備の充実とサービス向上を両輪とした取り組みを推進しております。これらの施策を通じてお客さまに選ばれるホテルブランドの確立を図ってまいります。
ラグジュアリー&バンケット事業では、「ホテル椿山荘東京」において、一部の客室を転用した産後ケアサービス事業の開始や、チャペルの一つをスイートルームご利用のお客さま専用のエグゼクティブラウンジへと改装するなど、保有資産の有効活用を通して高付加価値商品の創出と利益水準向上施策に取り組んでおります。また、広島の㈱Share Clappingでは、婚礼プロデュースのノウハウを活用した外部会場との提携を進めております。
リゾート事業では、2023年7月に開業した「箱根ホテル小涌園」が通年営業したほか、「箱根小涌園ユネッサン」においてリニューアルやホテルからの回遊により入場人員が増加するなど、箱根小涌園再開発の効果を受け大幅に増益となりました。その効果を最大化するべく、「箱根の観光客の誰もが訪れる場所」となることを目指し、アクティビティの実施など、箱根小涌園エリア全体で箱根小涌園観光地化戦略を推進しております。
これらの結果、当社グループ全体の売上高は前期比116億円増収の762億円、営業利益は前期比56億円増益の123億円、経常利益は前期比55億円増益の126億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比10億円増益の91億円となりました。営業利益および経常利益は過去最高益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高水準となりました。
■人材について
人材については、経営指針の一つに「企業の根幹は人であり、人材の育成が企業発展の基礎であることを確信し、意欲に燃え、平衡感覚に優れた人材を育成する。」と定める通り、
当社の成長の源泉は「人」であるという考えのもと、施策に取り組んでおります。
まず、2024年4月には処遇の向上や育児短時間勤務制度の拡充を実施し、外国籍社員の在留資格の更新手続きに要する費用の補助制度を新設いたしました。あわせて、コロナ禍に中断していた研修の再開、社内公募制度の活用も進めております。これらの施策を推進することにより、働きやすい環境の整備と適材適所の人材配置と育成を行い、安定的に人材が確保できる好循環を確立してまいります。
■財務について
2021年9月28日に発行したA種優先株式の未取得分のうち、2024年8月23日に40株、12月20日に40株を償還(取得および消却)し、未償還株式数は20株となりました。
2025年について
収益力が向上したことにより、課題であったA種優先株式の償還にも目途がつくまでとなりました。中期経営計画の前半3年を基盤構築フェーズと位置付けておりましたが、前倒しし、成長・拡大フェーズの施策に取り組んでまいります。
2025年は通期で売上高786億円、営業利益120億円、経常利益117億円を計画しております。商品力・ブランド力の向上による客室平均単価の引き上げを継続すると同時に、中期経営計画に沿い、収益拡大に資する投資を積極的に実施してまいります。WHG事業の複数事業所においては、変化するニーズに対応するため大規模な改装を予定しております。これに伴う客室販売停止期間の影響により、営業利益は前期比3億円減益となる見込みですが、中長期的な競争力強化と顧客満足度向上を目的とした重要な投資であり、将来的な収益基盤の強化に寄与するものと考えております。
また、2024年秋には従業員を対象とした新規事業の創造に挑戦する事業化アイデア公募制度「BizNex(ビズネク)」を導入いたしました。中期経営計画期間を通じて、産官連携、産学連携なども合わせた多様な手法により、事業領域の拡大に取り組んでまいります。

当社は2025年11月7日に会社設立70周年を迎えます。日本における観光業界の先駆けとして1948年に「箱根小涌園」、1952年に「椿山荘(現ホテル椿山荘東京)」を開業、1955年に会社を設立しました。以来、「憩いの場と温かいサービスを提供したい」という創業の理念を受け継ぎ、宿泊、リゾート、婚礼、レジャーなどの事業を展開してまいりました。永きにわたり事業を続けることができましたのは、これまで支えてくださったお客さまや関係者の皆さまのご愛顧、ご支援の賜物と心より感謝申し上げます。
設立70周年に際し、社内公募により周年企画推進プロジェクトを立ち上げました。お客さまにお楽しみいただける企画のほか、従業員エンゲージメントに資する機会とするべくボトムアップで企画を立案・推進しております。
最後になりますが、皆さまにご支援いただきながら断行してまいりました構造改革や付加価値向上などの取り組みの結果、2019年以来5期ぶりに復配(普通株式)することとなりました。今後も長期ビジョンの実現に向け、お客さまの人生の様々なシーンに寄り添った事業展開を通じ、成長してまいります。株主の皆さまにおかれましては、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。