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握手を交わす池井戸氏と山下社長 握手を交わす池井戸氏と山下社長

ホテル椿山荘東京 料亭「錦水」にて

Special Talk

企業が成長を続けるために必要なこと

情熱をもって徹底的に考え、
こだわる

「半沢直樹」シリーズや「下町ロケット」シリーズで知られる作家・池井戸潤さんが、
2024(令和6)年に書籍『俺たちの箱根駅伝』上・下巻を上梓されました。
『俺たちの箱根駅伝』では、当社の箱根小涌園に関するエピソードにも触れていただいています。
ドラマ『半沢直樹』ではホテル椿山荘東京の料亭「錦水」をロケで使っていただくなど当社ともご縁のある池井戸さんをお招きして、
変化の激しい時代のなかで企業が成長を続けていくために必要なものについて、当社社長山下信典と語っていただきました。
  • 作家
  • 池井戸 潤
✕
  • 藤田観光株式会社
    代表取締役兼社長執行役員
  • 山下 信典
Profile
作家 池井戸 潤(いけいど じゅん)
1998年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木三十五賞、2023年『ハヤブサ消防団』で柴田錬三郎賞を受賞。主な作品に「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」シリーズ、『シャイロックの子供たち』『BT’63』『空飛ぶタイヤ』『陸王』『民王』『ルーズヴェルト·ゲーム』『ノーサイド·ゲーム』『花咲舞が黙ってない』『七つの会議』『アキラとあきら』など。
藤田観光株式会社 代表取締役兼社長執行役員 山下 信典(やました しんすけ)
1984年藤田観光に入社。箱根ホテル小涌園支配人、箱根小涌園総支配人、太閤園総支配人、執行役員ホテル椿山荘東京統括支配人、常務執行役員ラグジュアリー&バンケット事業部長などを経て、2024年に現職。

Chapter

1

『俺たちの箱根駅伝』と
藤田観光

 

箱根駅伝が魅力的な理由

本日はホテル椿山荘東京にお越しくださいましてありがとうございます。近著『俺たちの箱根駅伝』を楽しく読ませていただいたところですが、執筆されたきっかけはどのようなものだったのでしょう。

日本テレビが毎年放送する「箱根駅伝」は、まさに青春ドラマの集大成のような素晴らしい番組です。箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)そのものは1920(大正9)年から続く歴史のある大会ですが、全区がテレビ中継されるようになったのは比較的最近の1987(昭和62)年から。それまでの放送技術では、箱根の深い山々に囲まれた道から「生」で放送することは不可能とさえいわれていたんです。だから、それまでどこの局も放送していませんでした。技術の壁が高すぎて、できなかったんですね。しかし、当時のプロデューサー・坂田信久さんとディレクター・田中晃さんを中心とした制作スタッフたちは、「なんとしてでもこのレースを生で届けたい」という情熱のもと、様々な工夫によって不可能を可能にした。テレビマンとして、決死のチャレンジと奇想天外ともいえるイノベーションの塊であるこの放送の秘密に、私自身、心を動かされたのが小説のきっかけです。

不可能を可能にした強い思いと情熱、とても魅力的ですね。

どこの組織でも、上から降ってくる企画というのは少なくないはずですが、「箱根駅伝」を生中継するという挑戦は、まさに現場からボトムアップで生まれたものです。しかも正月の2日間の早朝から昼過ぎまでを費やす大型番組ですから、失敗するわけにいかない。事実、日本テレビ社内では、この企画は出しても出しても、なかなか通らなかったそうです。プロデューサーの坂田さんが素晴らしいのは、それでも腐らず、企画が通らないのは自分に任せてもらうだけの信用がないからだと考え、「全国高校サッカー選手権」の中継を提案して成功させるなど、輝かしい実績を積み上げ、満を持して企画を再提出、承認を得たといわれています。

「箱根駅伝」のエピソードには枚挙に暇がありません。その中でも、私がいちばん面白いと思ったのは、地名でしか呼ばれないはずの中継ポイントの中でなぜ「小涌園前」だけが、施設名で呼ばれるのかということです。

作品のなかで、「もし、あのとき小涌園が大広間を提供してくれなかったら、『箱根駅伝』というコンテンツは存在していなかったかも知れない」、「ホテルの名前を連呼することで感謝の意を表したのである」と書いてあり、読みながらとてもうれしく感じました。

私が「箱根ホテル小涌園」の総支配人に就いたのはもっと後になってのことなのですが、そのエピソードについては先輩たちから聞いています。制作スタッフたちは万全の準備をしていたにもかかわらず、忙しさのあまりスタッフの宿泊場所が確保できていなかった。当時、お正月の箱根は予約でいっぱいですし、そもそも300名が泊まれる宿泊施設もなかったはずです。宿泊できないと箱根での中継は難しいとご相談を受けたということですが、いったんはお断りすることになりました。

相談があったのは、前年の秋、本選間近の頃だったそうですね。

そうです。当時、お正月のホテルはご家族のお客さまで満室状態でした。しかし、団体専用の宴会場である大広間が空いていたんですね。今は大広間に泊まっていただくことはできませんが、寝るだけでいいなら場所は提供できると、日本テレビさんにお伝えしたということでした。

関係者から、もしそのとき大広間を貸してもらえなかったら、「箱根駅伝」の中継はできなかっただろうと聞いています。

テレビの中継も大変ですが、一冊のご本を書きあげるのにも、相当なご苦労がおありだろうと思います。『俺たちの箱根駅伝』はいかがだったのでしょうか。

箱根駅伝は人間味にあふれていて、どのように書いても良いストーリーになる題材ですが、エンタメとして書くとなると、実在の大学名をどう出すのか、あるいは出さないのか、そのあたりの設定が難しかったですね。はじめは実在する大学を舞台にした、架空の選手を主人公に据えようと考えていたんです。ですが、当然のことながらその大学には今箱根駅伝を真剣に目指している選手がいて、それを見守るOBやファンが大勢いらっしゃるわけです。そんな大学を面白おかしく小説の舞台にするのはどうしても気が引けるし、そもそもやるべきじゃない。

競技に真剣に取り組んでいる選手たちへのリスペクトは書く上での絶対条件だと考えていましたし、箱根駅伝の伝統を築いてきた人たちの想いも伝える作品にしたい。じゃあ、架空のチームばかりでいいかというと、それではリアリティがなさ過ぎる。そんなわけで、いざ書こうとして何年も書けませんでした。

そこにようやく目処が立ったのは、何年か前の中継を見ていて、「関東学生連合チーム」だったら書けるんじゃないかと気づいたからです。『俺たちの箱根駅伝』は、関東学生連合チームを主人公たちの舞台としつつ、彼らを通してリアルな箱根駅伝のドラマを表現することで成立しています。

作品では、甲斐監督のキャラクターが印象的でした。要所で的確なアドバイスをする、彼の人を見る観察眼に感心しました。リーダーとしての視点、人を動かす力というのでしょうか。選手たちをきちんとグリップしながら見守るという監督のふるまいが非常に心に残りました。

読者の立場、お客さまの立場になって考える

池井戸さんの作品では、登場人物が様々な困難を乗り越えていく姿が描かれます。ついつい応援しながら読んでしまいますが、書く時にいつも心がけていることはありますか。

「登場人物の言動が自然であること」を意識しています。書き手が用意したストーリーに沿って動くのではなく、その瞬間、その場面で、この人物ならこういうだろう、こうするはずだ、というリアリティを優先して書いているつもりです。いわば登場人物たちが勝手に動くわけですから、物語を綴る作家は大変なのですが、その先の読めないところが読者はおもしろいはずです。

小説の登場人物は、リアルに生きている人と同じだと思います。善悪を安易に決めつけないようにしていますし、書きながら、私自身が「あ、この人はこういう人だったんだ」と発見することもあります。

小説の書き方にルールはありませんが、作者の都合を優先させて書く小説があったら、きっとその物語は不自然にゆがんでしまう気がします。

おっしゃる通り、自分の都合を優先させたものには人は共感してくれないのかもしれません。

私どもの場合を考えますと、お客さまは十人十色。趣味趣向が異なりますので、礼儀正しく接したほうがいいお客さまもいれば、フレンドリーにお声がけしたほうがいい方もいらっしゃいます。こちらの想いだけ、都合だけでするお仕着せのサービスでは、お客さまには伝わらないように思います。お客さまが何を求めているのか、そこを見抜く力が必要ですね。

私にとっても読者はお客さまです。難しいのは、全てのお客さまが等しく満足する小説も、サービスもないということです。同じことをやっても、「これは良い」といわれることもあれば、「全然違う」といわれることもある。全員が納得する正解はありません。

私はいつも小説と真剣勝負だと思って向き合っていますが、ネットの読者レビューを読むと、どう書いても悪い評価をする人が一定数いらっしゃいます。先輩の作家にはそういったレビューは一切見ないという人もいますが、私はどんな風に読まれているのか気になるタイプなので、できるだけ読者の意見には耳を傾けるようにしています。これはとても参考になりますが、藤田観光さんと違うところは、私の場合、読者の皆さんは直接名前も顔もわからない匿名のベールの向こうにあって、直接接しているわけではない、というところでしょうか。

私たちにとって、お客さまの評価は非常に重要ですし、常に肌身で感じ意識しています。しかし、例えばサービスや食事はよいがコストパフォーマンスの評価だけ低いということもあります。とはいえ5万円の客室を2万円にすることはできないですし、するべきではない。お客さまのご要望に対して、何をどこまで追求するのか。できるのか。そこはとても悩むところですね。

どんなお客さまに合わせていくのか、サービスのどこに重点を置いていくのか、はまさに経営判断そのものですね。

Chapter

2

困難を乗り越えて
結果を出すために

 

明確な目標を設定する大切さ

結果を出す、あるいは目標を達成するためには何が必要なのでしょうか。勤めてきた経験からいえば、目標が明確で、みんなが同じ方向を向いてエネルギーが一つになり、頑張ろうとなった時が、いちばん業績が良かったように思います。

箱根駅伝は、同じ夢を持った選手たちがチームになり、想いをタスキでつないでいく競技です。

そういった駅伝競技とは異なり、会社に所属する社員が全員同じ目標に向かって一つになるのは簡単ではないかも知れません。

昔はひたすら働くのが当たり前だったかもしれませんが、今は時代が変わり、働くということに対する考え方も大きく変化し多様化しています。モチベーションを高め、やりがいや誇りを感じてもらうには、その変化に対応しながら伝えていく工夫が必要ですね。

社員の皆さんは一人ひとり違います。家族構成や生活スタイル、子供の教育費がかかるとか親を介護しているとか、それぞれ置かれた環境も違うでしょう。そういう方たち全員が同じ目標を目指すのなら、社員の皆さんそれぞれが、それを受け入れ、自分のものにする準備が必要なのだろうと思います。働くというのは、そもそもそういうことなのではないでしょうか。それは社会人として生きていく上での覚悟というか、心構えのようなものにも通じている気がします。

私の場合は、一つの作品を、これだけの読者に届けたいという明確な数値目標を毎回、作っています。本が売れないといわれる時代ですが、だからといって、売れなくていい理由にはなりません。書く以上はできるだけ多くの皆さんに読んでいただきたいです。小説と比べると、コミックはその何倍、何十倍も売れているわけですが、コミックだから売れて、小説だから売れないというのは、本当にそうなんでしょうか。コンテンツを選び、書き方を考え、マーケティングを工夫することによって小説だって売れるはずです。最初から無理だと決めつけず、どこかにあるかも知れない解決策を探す情熱や、ひたむきさが越えられない壁を越える原動力になると思います。まさに「箱根駅伝」を実現したテレビマンの挑戦そのものです。

一人ひとりが明確な目標を持ち、その目標を必ず達成するという強い気持ちと情熱がないと成功には結びつかないということですね。

今若い世代に何かアドバイスするとすれば、「会社にぶら下がるな」でしょうか。会社や肩書きがなかったら、何もできないタダの人ではいけません。会社がなくても生きていけるだけのスキルやモチベーションを持つべきです。その上で今ある仕事の中に、何か新しいことや楽しいことを見つけられたらきっと人生はおもしろくなる。そういう生きる上での意欲や柔軟性が、いずれ自分の夢をかなえることにつながると思います。

徹底的にこだわり、それを実践する

本が売れるために、工夫していることやこだわっていることなどはありますか。

見たとき、手にしたとき「綺麗だな」と思える本を作りたいと思っています。本棚に置いた時に映えるような――そういうのを本の“身体性”というんですが、その身体性を大切にしています。

本を開いた時に美しく見える活字の組み方ですとか、カバーのデザイン。さらに、各章のタイトル文字の位置にもこだわります。『ノーサイド・ゲーム』というラグビーの小説では、カバーを外すとラグビーボールを想起させる手触りの表紙になっています。あまり気づかれないところにも、こだわりがあります。

池井戸さんのようなベストセラー作家でも、そこまでこだわっていると聞いて驚きました。

作家の場合、本は、出版したらもう直すことができません。言い訳ができないんです。ですから、私の手から離れる最後の瞬間まで、全力でベストを尽くさなければなりません。そうやって作った本だからこそ、読者に伝わることがあると信じたいです。

そのためにも、読者が何を求めているのかは最優先に考えています。その上で自分に何が書けるかを考えます。簡単そうに聞こえるかも知れませんが、これはとても重要で難しいことです。

どうしたら読者がこの本を手にしてくれるのかを徹底的に考え実践されている。そういった追求は、私たちのビジネスでも大切なことですね。

ここ料亭「錦水」では、料理がおいしくて見た目にも綺麗であることは当然として、例えば、桜や蛍といった季節を感じていただきたいのであれば徹底してそれを追求しなければ、お客さまに高いお金を払っていただけません。私の経験上妥協をした時に失敗することが多かったように思います。味、量、見た目、さらにシチュエーションや値段など、料理には様々な要素がありますが、これからもお客さまを意識して、とことんこだわっていきたいと思います。

Chapter

3

藤田観光のこれから

 

ターゲットに応じた商品を展開していく

コロナ禍では、御社も大きなダメージを被ったのではないでしょうか。

私は藤田観光に入って40年になります。その間、バブル崩壊やリーマン・ショック、東日本大震災、箱根では大涌谷の火山性地震や台風など様々な災害や危機がありましたが、コロナ禍という未曾有の事態は当社にとって最大の経営危機といえるものでした。

経費の見直しなどで対応できるレベルでは到底なく、300名以上の仲間が会社を去ることになり、大阪の拠点だった太閤園も売却せざるを得ませんでした。非常に厳しく、債務超過が目前に迫る苦しい経験でした。

企業経営にとって、リスクマネジメントは重要ですね。

自然災害や感染症などへの対応は難しいのですが、インバウンドシェアが高まっている今、カントリーリスクマネジメントという視点であれば、より幅広い国から集客するなどやれることはあります。現状分析をしたうえでターゲットを明確にして、アプローチしていく。作家の方でいえば、読者層を広げるということになるのでしょうか。

私の場合はどんな方が読んでいるかはだいたいわかっています。今いちばん弱い読者層は、10代から30代の女性でしょうか。銀行や会社が舞台になることが多いせいか、小難しいと思われているところがあり、なかなか手に取ってもらえません。

池井戸さんの作品は、サラリーマンの男性に支持されている印象がありますが、実際のコア層はどのような方でしょうか。

中心は30代から60代です。『俺たちの箱根駅伝』に限っていえば、男女差はそれほどありません。もう少し若い層にも読んでもらえればと思っているのですが、なかなか難しいですね。新聞広告を出しても、若い方はそもそも読んでいなかったりしますし(笑)。

ターゲットのニーズに合致した商品を作り訴求していく必要があるというのは我々も同じですね。

さらに、新たなターゲットや領域にも挑戦すべく、「BizNex(ビズネク)」という事業化アイデア公募制度を導入しました。全従業員を対象にアイデアを募り、企画が通れば提案者がプロジェクトチームに入って新規事業を立ち上げるという仕組みになっています。

発案者がプロジェクトに関わり、率先して引っ張っていくのはいいですね。新規事業は、立ち上げてもそう簡単にうまく行きません。軌道に乗るかどうかは、本気で向き合い、情熱を燃やせるリーダーがいるかどうかにかかってくるのではないでしょうか。

その通りですね。こちらが提供するものに熱がこもっていて、真剣にお勧めできるものでないと、宿泊したい利用したいとは思ってもらえません。新規事業に限らず、情熱を持って提供するサービスを磨き上げなければなりませんね。

サービスを通して人の幸せに寄与する

池井戸さんはホテルをご利用される経験も多いと思いますが、ホテルのどういうところに価値をお感じになりますか。

あるホテルの部屋を執筆用に年間契約したことがあります。ホテルに着くと、スタッフの皆さんから「お帰りなさい」と迎えられるんですね。「ああ、帰ってきたんだな」という気持ちになりました。チェックアウト時にも、「行ってらっしゃいませ」といってくれる。そういう対応はうれしいですね。

AI(人工知能)では代用できない、人が介在することによって生まれるサービスを求めているところはあると思います。

当社グループには、家族のような思いやりでお客さまに接する「オール藤田ホスピタリティ・マインド」という全従業員が共有する価値観があります。AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)など技術革新が進んで効率性が求められる世の中だからこそ、お客さまがお困りのようであれば声をかけるなど、基本的な部分をおろそかにしてはいけないと思っています。

これからどういう方向で進んでいこうというお考えはありますか。

長期ビジョン「みんなが笑顔になるために、ライフスタイルに寄り添うユニークな事業展開で、成長し続けます。」の実現ですね。今お話が出たようなちょっとした喜びを含めて、お客さまの人生の様々なシーンに寄り添い、サービスを提供することによって、人の幸せに寄与する会社でありたいと考えています。お客さまを笑顔にするためには、まず自分たちが笑顔でなければならない。そういう想いも込めています。

藤田観光さんには、既存の枠組みからどんどんはみ出し、新しいホテルの在り方に挑戦していただきたいですね。ホテル椿山荘東京、箱根小涌園など、世の中に認知された立派な施設を持っておられ、それに加え、長年にわたって社の理念を実現してこられたヒストリーもある。当然、そのレガシーを背負った優秀な人材もたくさんいらっしゃるに違いありません。その財産を生かして、ぜひこれまでにない個性的なチャレンジをしていただきたいです。

ありがとうございます。池井戸さんにはこれまで同様に読者をワクワクさせる作品を作り続けていただきたいと思いますし、私たちもお客さまがもっと泊まりたい、利用したいと思ってもらえるような施設作り、サービスの在り方をこれからも追求していきます。本日はありがとうございました。

「俺たちの箱根駅伝」上・下巻の書影
『俺たちの箱根駅伝』上・下(文藝春秋刊)

池井戸潤の最新長編の舞台は、
「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。
若人たちの熱き戦いが、いま始まる!

古豪・明誠学院大学陸上競技部。
箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。
本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。
隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?

一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。
プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。
「不可能」といわれた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。