2017年10月10日

その他

作家LiLyの箱根を舞台にした書き下ろし小説 「ツグミとわたし」 <前編>

My Hakone Time by 天悠

親友というわけではないし、ましてや、恋人でもない。

だけど、気心が知れ、何でも言い合え、どこか気になる男友達——。

女性誌での連載や月9ドラマの脚本協力など、オトナ女子の心を捉えた描写が人気の作家LiLyが描くのは、

そんな「ツグミ」とわたしが織り成す “箱根を舞台にした”ラブストーリー。

週末の旅情をくすぐる物語をお楽しみください。
>>後編はこちらから<<

 

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文・LiLy/イラスト・maegamimami

「ツグミとわたし」前編

30代は楽しいってみんなは言うけど、え、どこが? としか思えない自分がいる。というか、そもそもそう言っていた「みんな」が誰なのかといえば、メディアに出ている女たち。

いろんな女がいるけれど「彼女たち」に共通しているのは、発言を求められる程度には成功しているということ。

 

そりゃ、楽しいだろうよ、と鼻白む。

抹茶ラテの甘い湯気が、鼻先を包む。

 

目の前の優しい香りと、頭の中の苦い声。

待ち時間のヒマを潰すために、ツイッターのタイムラインにあがってきた女性作家のインタビュー記事を読んでしまったせいだ。気分が悪い。

ラテの甘さを濁らせるようなため息を吐きながら、マグカップから視線をあげる。と、

「———もう逃げない、幸せになることから。」

 

「は? 」・・・・(つづく)

 

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