2018年10月09日

その他

【とっておきの箱根案内】詩人・菅原 敏の箱根を舞台にした書き下ろし小説 「湯船に乗って」後編

My Hakone Time by 天悠

詩人・菅原 敏の箱根を舞台にした書き下ろし小説 「湯船に乗って」後編

舞台は2028年。

結婚して10年を迎えた二人が向かったのは

かつて一度訪れた、あの箱根の温泉だった。

少し未来の夫婦のかたちとは?

同じ一日で起きた出来事が、

夫からの視点で描かれた前編、

そして妻の視点で描かれる後編。

 

国内外での朗読公演や、昨年出版された

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』でも話題を集める

異色の現代詩人・菅原 敏が描き出す、

せつない夫婦のラブスト―リー。

>>前編はこちらから<<

 

文・菅原 敏 /イラスト・江夏潤一

 

 

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タイムラインの化石たち

私と夫の関係は、今、薬の上で成り立っている。

 

恋愛感情の賞味期限は3年だと科学的に証明されたのはもう何年前だろうか。

人が恋に落ちている時に脳内から分泌されているホルモンはPEA(フェニルエチルアミン)と呼ばれており、

この脳内物質の分泌は同一のパートナーの場合、およそ3年ほどで打ち止めになってしまうというものだ。

これらの事実が広く普及することによって私たちの国でも恋愛観や結婚観は徐々に変わってきたし、これまでに人類が書き残してきた多くの恋愛小説や、

様々な男女間のもつれなどが、3年という物差しで測り直されることにも発展した。 ・・・・(つづく)

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